下記を原則とする。遠坂家家訓に続き、佐山家の礼節をトレース。
「君が望んだとき、私も望んだならば、私は君の望みを叶える。そういことだ。それが、私の信じる佐山家の礼節でね」
右手を振ってシャツの袖を張らせ、新庄に右の手をさし伸べる。
「君が痛みを感じていたとき、君を護りたくなったら君を護ろう。君が独りを嫌だと感じたとき、君と話をしたかったら君と話をしよう。君が悩みを抱くと決めたとき、君を大事に思ったら君を一人にしよう。君がここにいたくないと思ったとき、君を想うならば君を嫌おう」
そして、
「君が誰かと親しくありたいと思ったとき、君を見たならば、私は君の隣に立とう」
どうかね? と佐山は問うた。
「私は君に何も要求しない。私は私に要求する。基礎に礼節を敷き応用には信頼を広げよと。佐山の姓は悪役を任ずる。ゆえに刃向かわぬならばただ与えよ、——されば奪われぬ」