- 「心臓外科になって欲しいなんてこと 望まないから。」: Dr. absinth「夢見るかえる」
誰だって面倒なことはしたくないし、傷つきたくないし、それでいて欲しいものはたくさんある。でも、何かを得たいなら、それ相応の代価を支払わなくちゃならない。堕落した状況で手に入るものなど、それこそ“傲慢さ”だけだ。
absinth先生が“効率と競争によって取捨選択されていく資本主義の最も悪しき部分”と指摘したのは、本当に的確かと。効率の追求と競争の勝利を得たければ、どうしても10年後なんていう遥か先の結末よりも、目先の利潤を求めるだろうし、努力した分だけ報酬が無ければ分に合わない。どうせ大した報酬もないなら、わざわざ苦労する必要もない、ってな。
この世界では、努力なんざ、3割報われれば上等なのにさ。
“悪役を任ずる”ではありませんが、“効率と競争によって取捨選択されていく資本主義の最も悪しき部分”が真理なら、それを逆手に取っては如何でしょう? 這いつくばって生き残った奴だけrecruitする、と。え? ますます志望者が減るじゃないか、って? 待遇を甘くしたってつけあがる奴ならどうせ志望しないし、本当に志望して来る奴なら、修羅場くぐってでも喰らいついてきますって。きっと。
私はね、これからの2年間は、ありったけの技術を身に付け、また出来る限りの評価を得て、3年後の入局の段階で、それを叩き台にして自己を売り込むことを望んでます。「ここで働かせてくださいっ!」ってな。どこの医局だって人手はいくらでも欲しいだろうから、どんな奴でも受け入れてくれるだろう、なんて、甘いこと考えちゃダメ。「アンタが欲しい」と相手に言わせるつもり、ぐらいの気負いが無くては。資本主義マンセー! のこの世の中、自分をプロデュースできるぐらいではないと、ね。
え? お前にそれほどの価値があると思ってるのか? 自惚れんなよ! ですと? そんなの、知りませんよ。だって、私、まだ医師じゃないですから。どれほどの成果を上げられるかなんて、実際にやってみないと分かりません。しかし、そのぐらいの気負いがあった方が、モチベーション維持には好都合かと。それに、どうせ自分の無力さに絶望する時期が、幾度と無く来るんですから。あとはそこからどれだけ這い上がってこれるか、の勝負です。這い上がって来れなくてそのまま首吊るのも一つの結末。大口叩いておいて結局凡庸に終わってもそれはそれで1つの結末。結末なぞ、それこそ“神のみぞ知る”。結末はどうあれ、私は、私のすべきことを、私の持ちうるすべてを投入して、する。それだけ。
我が姓は偽善と傲慢の役を任ずる、と。
