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予定入院が遅れることによるリスク

自分の専門分野の話で申し訳ないが。予定入院の遅延が、病院の収入や患者の社会的事情に悪影響を及ぼす程度なら(それは十分憂慮すべき事態だが)、“まだましなレベル”である。白血病にせよ、悪性リンパ腫にせよ、血液疾患患者の予定入院が延期されることは、そのままその患者にとって致命的になる危険があるからである。
理由は単純。仮令一旦病変が消失したように見える状態*1になったとしても、継続して化学療法を反復しない限り、再燃・再発する危険が高いこと、そして予定されていた化学療法が遅れるほど再発・再燃の可能性が高いことは、過去の事例や研究から明らかにされているのである。このため、感染や血球減少などの副作用がない限り、定期的な化学療法(3週間ないし4週間に1度)は実施すべきであり、そのための入院枠は確保しなければならないのである。一旦再燃・再発してしまえば、その後再度寛解に至る可能性は低くなり、より強度の強い化学療法を実施しなければならない以上、副作用がより強く出る可能性は高くなり、それが致命的になる危険が増大することに他ならない。「入院予定」とは、それだけ必要のあることなのである。
「入院予定によるベッドの空きがないことを理由に受け入れを断るのはけしからん」との意見を御希望なら、現在本邦で化学療法を受けられているすべての悪性疾患患者に「私の意見のためにあなた方の疾患が再発する危険が増大し、治癒に至る可能性が少なくなりますがご了承下さい」と説明し全員の同意を得てからにして頂きたいものである。

*1:これを「寛解」と呼ぶ

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