北海道の遅い春を捕まえに、早朝に夏タイヤに装填したばかりの愛車を走らせた。では、どうぞ。
とはいえ、国道228号を馬鹿正直に進むだけなので行程もなにもあったもんじゃない。ただ、夏タイヤへの装填に手間取った(というか、普段運動不足の俺には、タイヤ4つ運んだ上にギャッジアップで手ずからタイヤ交換するのは骨である)ため、福島町千軒に着く頃にはちょうど正午。…ちょうどいい。千軒そばを食べていこう。
千軒そば

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知内の市街地を抜け、海岸を離れた国道をひた走り、福島町に突入した事を示すカントリーサインを過ぎると、程なく現れる福島町千軒の集落。実はここ、生産量こそ少ないが良質な蕎麦が採れる名産地だったりする。去年は閉店日(というか、土日と幾つかの平日しか開店していないので注意)で食べる機会がなかった。今日はあいているようなので寄ってみた。
建物はもともと集会場だった建物をそのまま流用しているので、靴を脱いで上がり、会計で注文して座布団に座って品が来るのを待つ。…混んでいたので多少待ったが気にするほどで無し。さて、来たぞ。
かしわそば

注文したのはかしわそば。ここの蕎麦は十割蕎麦*1で、素朴な味がする。付属のおにぎりのご飯にもそばの実が入っていて、これがなかなか美味い。
毎年そばの花が咲くころに、収穫への希望と感謝をこめて神事が行われる。その写真が店内に掲示してあった。また、そばの花が咲く頃に来たいものだ。
千軒を出発し、福島町本町、白神岬をスルーし目指すはひたすら松前へ。…なに? 桜の季節には早すぎるだろうって? まぁね。でも、もう咲いている桜も、あるんだよ。
冬桜 全容

小ぶりの花がちらほら咲く。文字通り、本州では11〜12月の“冬に咲く”桜なのだが、ここ松前では10〜11月と、4月上旬に咲く。ソメイヨシノとは異なりマメザクラの一種で、花そのものはとても小さく、去年撮影した満開のころの派手さは無いが、可憐な姿には心打たれるものがある。
では、近景をどうそ。
冬桜 I

冬桜 II

おっと、“上ばかり見上げては、大事なものを見落とすよ?”
“春のじゅうたん”

(名称不明)

(名称不明)

(名称不明)

(名称不明)

龍雲院の椿

(名称不明)


桜待つ北海道唯一の旧式城郭は、今や遅しと春を待ちわびている。
ところで、昨年、一昨年と各季節の松前城を撮ってきた訳だが…残りは、冬だな。
桜「南殿」の蕾

今は固く閉まった蕾も、あと少しで花開くだろうか。
松前神社と冬桜

屋根の紅と桜の白を対比して1枚。
添水

ふと耳を澄ませば聞こえてくる添水の音。
なお聞こえるは春を謳歌する鳥たちの歌声。
(名称不明)

「何に臨むや?」

(名称不明)

聞いたことのない鳴き声が聞こえたので、粘って撮影した1枚。でも何という鳥だがさっぱり分からん。鳴き声も「ゲァー」と随分“えげつない”声だったが…?
龍雲院の桜


さしもの有名な桜も、今は時を待つばかり。

箱館戦争の折、明治政府側の松前藩と、土方歳三率いる蝦夷共和国軍(旧幕府軍)が攻防を繰り広げた搦手門跡。復元されすっかり観光名所となったこの場所で、血で血を洗う闘いがあったのを知るのは、ただ当時の面影を今も残す、郭の石垣(銃創が残っている)ばかりである。
さて、松前を出発し、来た道をひた引き返す。その途中、知内町域に突入したすぐに左折し、道道812号を進む。今日の最終目的地、「知内温泉」に到着だ。

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開湯1274年という北海道最古級の温泉だ。大千軒岳の麓の山中であり、既に秘湯ムード満点だが、湯船は小さく洗い場も3人分という、やはり秘湯に違わぬスケール(苦笑)。しかし温泉水は濁り湯で湯温も高く、浸かれば体の芯まで温まる。価格も日帰り入浴大人一人¥:410とお手頃価格。好き嫌いはあろうが、一度行ってみて損はあるまい。
「もうすぐ春ですね」

ちあしう氏の写真を真似て、“春の代名詞”フキノトウの芽を撮ってみた。こんな残雪の山間にも春の足音は聞こえてくるのだ。
温泉を出発し、途中行き止まりとなる道道のずっと手前で案内板に従って町道を走り、国道に帰還。あとは道なりに走って帰宅。しかし、走るたびに思うが、水平線の向こう側に朧に見える函館山がだんだん近づいてきたり、かと思えばついさっきまで近くに見えていた大千軒岳などの松前半島の山々が遥か後方に見えたりと、ずいぶん長距離を走ったような気がする行程だ(実際には往復180km程度なので、先日洞爺湖・ニセコの方が2倍の距離を走っているのだが)。