羊蹄山登ってきます。数日更新なくばヒグマにでも襲われたかと思われたし。無事帰還しました。では、「登山記」をどうぞ。
国道5号→八雲IC→道央自動車道→長万部IC→国道5号→比羅夫登山口
渡島半島北上はいつものルート。長万部ICからは国道5号をひた走り、黒松内・蘭越を経て、道の駅「ニセコビュープラザ」を進むこと数kmで「比羅夫登山口」の案内板があるので、そこから町道に入る。…と、その前に。
8:25 比羅夫(倶知安)コース登山口
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羊蹄山登山コースは4つある。今回のルートである西側の「比羅夫(倶知安)コース」、北側の「京極コース」、東側の「喜茂別コース」、南側の「真狩コース」。いすれの登山ルートも、車で行けるのは山の麓で、しかも同心円形の成層火山である羊蹄山なので、どこから登っても山頂まで4時間程度かかる。今回「比羅夫(倶知安)コース」を選んだのは、国道5号からのアクセスで近かったことと、以前に、この登山口の近くにある半月湖*1の探訪のため、来たことがあったから。
登山届に記名して、いざ登山開始!
1合目までは山麓のブナ林の中を、トレッキング気分で進む。
9:03 2合目
9:18 3合目
づづら降りの急斜面も、3合目あたりで漸く普通の直線の登山道になる。このあたりでようやく展望が開け始める。
3合目付近からの倶知安町市街地。以下、同じような展望だが、少しずつ高度が上がっていく感じを実感して頂きたい。
9:31 4合目
1時間強で4合目ならば上々の出来。このあたりはエゾマツ等の針葉樹林と広葉樹林の混成地帯。その道中に不意に姿を現した白い柱。何ぞ?
10:16 6合目
6合目の標高は1200m。背の高い樹木は少なくなり、ダケカンバ等の潅木が主だったものになる。樹木が低くなったおかげで、国道5号を挟んで西側のニセコアンヌプリが見えるようになった。
10:38 7合目
ここらあたりでかなり息が上がってくる。ふと気づけば息が白い。にわかに現れた雲が陽を隠し急に気温が下がった。このときの服装は秋用の薄手のハイネックの下にシャツとTシャツの計2枚、さらにパーカーを着ている。このくらいの防寒レベルでも十分なくらい、気温は下がる。
朱に染まる葉が、平地より早い寒さの到来を象徴している。
と、道を阻むシラカンバの倒木に生えるナメコダケ。味噌汁に入れるには、少なすぎるな*2。
11:03 8合目
まだまだ続く上り坂。勾配は緩まることを知らず、何度も休息を要するように。ダケカンバのトンネルが続き、展望が開けない。正念場が続く。
…と、不意に樹木が切れ、ガレ場になる。ついに来た、9合目だ。
11:37 9合目分岐
見ての通りのガレ場。落石や滑落に注意。その変わり展望は一気に開けた。
9合目分岐から望むニセコ山系。少し雲はかかったが、ニセコアンヌプリの向こうの山系も見えるようになった。
手近にあった倶知安町市街地も遠くなった。その向こうに岩内町・泊発電所まで見える。その奥に控えるのは積丹半島の山々だ。
広角レンズで、ニセコアンヌプリと倶知安町を同時撮影。視界の広さを実感してもらえるだろうか。
さて、ここからは山頂へ向かう道と、避難小屋への道に分岐する。当然、山頂を目指す。
9合目付近 カール状地形
ガレ場を登りきったところにあるカール状地形。登山道は、写真中央のピークへ続く。ここまで高度が上がると、陽が少し陰っただけでも寒い。リュックから、ウールのセーターを取り出してパーカーの下に着込む。これが無かったらマジでやばかった。しかしこの段階で既にダメージは相当なもの。あと少しの所で足が上がらない。残りの力を振りしぼって、残りを踏破すると…
ついに山頂噴火口の縁に到着。やっと来た!
実は、羊蹄山は見事な成層火山の割に山頂の噴火口の構造は複雑で、計3つの噴火口からなる。Google Mapでは登山道が分からないので、「国土地理院 地図閲覧サービス 2万5千分1地形図 羊蹄山」を参照頂きたい。地図左上方の点線が今回登った「比羅夫(倶知安)登山道」だ。ここから、噴火口を時計回りに廻る。まずは、噴火口北側のピーク「北山(雲仙岳)」を目指す(国土地理院地図の△1843.4)。
11:58 北山山頂
噴火口外輪山北側のこの場所からは、羊蹄山の北側を流れる尻別川流域が望める。
写真左が倶知安市街地、中央を蛇行するのが尻別川だ。
ニセコアンヌプリ方面は少し雲がかかってしまった。
北山から見下ろす、2番目に大きな噴火口「母釜」。その向こうに、いまだ見えない最大の噴火口と、最高点のある東南側外輪山がある。このまま噴火口を時計回りに進む。
母釜の縁である尾根を越えて見える最小の噴火口「子釜」。
反対側には、京極町市街地。市街地の左下あたりに、有名な「吹き出し公園」がある。
さらに時計回りに火口を進んで、姿を現した大火口「父釜」。直径700m、深さ200mの大迫力だ。
ここから先に、羊蹄山の三角点と、最高地点がある。最後の努力だ。
尾根が急峻になる分、大火口の迫力が増してくる。
羊蹄山一等三角点(国土地理院地図の△1892.7)。写真右上から、これまで登って来た外輪山登山道が見える。
火口も巡って東側に到達した。喜茂別町市街地と、尻別岳が見えるようになった。
一等三角点から望む大火口。
12:38 羊蹄山 喜茂別ピーク(最高地点) 登頂
漸く最高地点(国土地理院地図の△1898)到達。つらい道のりだった…
広角レンズによる京極町・喜茂別町。実は写真中央の稜線の向こうに、少しだけ札幌市街地が顔をのぞかせている。
ここからなら、壮瞥町の田園地帯の向こうに洞爺湖まで望める。
尻別岳もまるで島のよう。その向こうの果てに稜線となっている山々はオロフレ山や徳舜瞥山だ。
喜茂別ピークから望む大火口。
さて、風景をおかずに、コンビニで買ってきたおにぎりを頂く。…が、既に12時を過ぎている。余りのんびりすると日没までに下山できなくなる。名残惜しいが、もうそろそろ下山を開始せねば。
最後に、望遠で洞爺湖を近撮。実は、虻田沿岸の太平洋(噴火湾)まで見えていたのだった。
12:45 下山開始
喜茂別ピークから真狩ピークまでは進行困難な岩場が続く。これでは相当時間をとられるため、反時計周りに来た道を戻る。ただし、北山は経由せず、大火口と母釜・子釜の境である尾根にある登山道に分岐を曲がる。
尾根途中から望む大火口(父釜)。向こうの稜線が火口南壁だ。見ての通り、延々と岩場が続く。
反対側の子釜。噴火口の中で一番小さく、浅い。
噴火口境界尾根を振り返る。右側のピークが喜茂別ピークだ。
稜線登山道もさらに分岐し、直進すれば旧避難小屋に到達するが、ここは右折し、もと来た道に戻る。
あとはひたすら下るだけ…なのだが、急斜面は登るより下る方が大変。降りれば降りるほど両足は痙攣しだし、度々の休憩を入れなければ、はずみで滑落しそうになる。正直、何度か死にかけた。ホントに登山は命がけである。
何だかんだ言って、麓にも紅—秋の足音が近づいていた。