一仕事成しとげた後の下卑た自慢話でも良ければ。
本日当直。空いた時間に北海道血液談話会からの無茶振りアンケートの始末。過去五年分のde novo AMLの件数総数と、Good Risk全症例の経過を送れ、と。フン、俺がこの1年間で練成した"兵器"で、朝日が昇るまでに始末をつけてやる。
2011-01-28 00:16:51 via web
“兵器”とは言うものの、要は当院における血液悪性疾患(および希少非悪性疾患)のデータベース作成である。患者抽出と一部のExcel関数に関しては医療クラークさんの助けを借りたとは言え、ほぼ独力で完成させたのは、この3年間で唯一誇っても許されることだろう。
ただ、ここまで奔走した根源には、実は『空の境界』が1枚噛んでるとは、よもや誰も思うまい。
とおい昔の噺だ。人間は救いきれぬ。生きていく以上、どうあっても報われぬ者が出てしまう。すべての人間は幸せになどなれぬ。ならば———救われなかった人間とは何だ。その一生は何をもって報われるのか。
答えはない。無限と有限に等しいのだ。救われぬ者がいなければ、救われる者が吐き出されない。ならば——救済など、ただ巡るだけの金貨と同じだ。
人間は救われない。世界に救いなどない。だから死を記録しようと思った。物事の最後までを記録して、世界の終わりまでを記録して、一から最後までを検分する。その上でなら、一体何が幸せだったのか判別がつくだろう。
報われない者も救われない者も、その全てを一から見直すことができるなら———何が幸福と呼ばれるものかを判断できる。世界が終わった後、この出来事こそが人間の意味だったと解るのならば——無意味に死んでいった者達にも、総じて意味が与えられるのだ。故に世界が果てれば、人は、人間の価値というものを検分できる。
それだけが———唯一、共通の救いである。
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助けられなかった患者がいる。全部覚えてる。
助けられませんでした。差し出した手の指の隙間から命がこぼれ落ちていきました。すまない。
MaskedER@wstonemd
それはきっと“医療の地平面の向こう側”で、仕方が無かったのかもしれないが、強欲な俺はきっと“その諦めに不満足”で、「何故だ」と問い続けるのだ。荒耶宗蓮の様に達観出来ればまた別の結末もあろうが、そこまで達観できない凡夫の俺は、その魂の渇きに掻き立てられて奔走する。それはひょっとすると最早正気ではないのかも知れないが、だからこそ“崇高な狂気”で有り続けたいと願うのだ。
つまり全ては過程であり……
今すらも未来への礎なのだ
失ったモノを取り戻すためではない
全ては先へと進む糧となるのだ
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この身尽き果てるまで、魂の渇きに苛まれて俺は暴走する。その“生き汚さ”こそ、私に相応しい。我が身は煩悩に塗れてくたばるが宜し。