一応このあとSEALDsから誤報謝罪&取り消しが行われた訳だが。折角なのでちょっと遊んでみよう考えてみよう。
この日本で非合法の臓器移植が可能かどうか。
結論
まず無理。
いきなり言わせてもらうが、まず無理なのである。臓器移植が行われるには"臓器以外に何が必要か"分かってないから、こんな事がヌケヌケと言えるのである。では、その必要なことを論じていこう。
- まず、移植手術の問題である。特殊な事情による角膜と造血細胞以外の、所謂"臓器移植"を行うためには、凄まじい量の人材と資源を要する。まず人材として術者としての執刀医や介助する看護師の他、麻酔科医・臨床工学技士*1・薬剤師・検査技師etc.と多人数・多職種の人間が携わって初めて成立するものなのである。"違法行為"を"確実に(漏洩なく)"行うためには、これら多人数に対して大金を投じて箝口令を敷くか、"違法行為専門の人員"を配備する必要が出るが、いくら臓器売買が高額とは言え、これではコストに見合うまい。
- 1.に類似するが、人員のみならず手術室・麻酔器・点滴機材etc.などのハードウェアを揃えなければならない。アニメ・漫画・小説などで出てくる"秘密の手術室"、アレを実際に作るとなると(しかも非合法であることがバレないように隠蔽工作をするとなると)どれだけの先行投資が必要になるか分かったもんじゃない。そういう意味でもコスト高すぎる。
- さらに設備のほか医療には点滴やら薬剤やらの物資が必要になる。殊に臓器移植となると拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤と、その副作用の易感染性に対処するための抗生剤が大量に必要になるわけだが、それらをどうやって仕入れるのか。"製薬会社の陰謀ガー"といういい方もあろうが、製薬会社とてビジネスなので、そのようなものに手を出すのはあまりにリスキーだろう。まさか"非合法医療目的の極秘製剤ライン"を"多数の製薬会社"が保有してる、となるともはや陰謀論並みである。
- 上記の条件は"臓器提供者"にも通じる訳で、「自分の内臓を売り、生活を食い繋ぐ」と言っている訳だから、臓器提供者は生きてる訳だ。しかしドナー(臓器提供者)に、"周囲から怪しまれない程度に" "臓器を提供した後も生き残る"為には、臓器摘出にもそれ相応の人的・物的資材を投入する必要がある*2。非合法の臓器摘出がコストに見合うかどうか。
- もし上記の条件をすべて見たし、凄まじい金額を投下して"非合法臓器移植の実行"を成立させたとして、その担い手の人間が不自然に高所得を得るこにと周囲が気付かないかどうか。まず税務署が飛んできそうなものである。ああ、税務署の前に"自称"ジャーナリストが飛んでくるのが先か。
まだこれでも書き足りない。冒頭で「まず無理」と言ったのは、"不可能である"ではないのである。"無茶苦茶をすれば可能だがあまりにもコストが見合わない"なのである。臓器移植だけじゃないさ、医療そのものが莫大な資源を消費して行われていることに全くもって不勉強で「裏で自分の内臓を売り、生活を食い繋ぐ母親がいます」などと言う連中に冷笑することしかできん、それだけである。
…なお、日本ではコスト高で無理だが、"そうでないなら"。例えば、そういう非合法行為を隠蔽しなくても済む、あるいは臓器を摘出した後のドナーの安否なんぞ知ったこっちゃない、という国が"あるのなら"、こういうビジネスは成立するだろうがね。