俺も写真撮りだから、私見を述べておく。
まず「Terra Khan's Photo Gallery」収載の写真を見て頂くと、サインの横にこんなの↓があるはず
これは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」のアイコンの一つで、「作品の使用に関して著作権者がどこまでの権利を保有し、利用者がどこまでの範囲で使用できるか」を意思表示したものである。俺はサインに併記してアイコンを写真に組み込んでいるが、はてなフォトライフのシステムとしてもこの宣言ができるようになっている(フォルダ単位だけど)。
上記のアイコンの意味。俺の写真のほぼすべては、以下の宣言がされていることになる。
「表示-非営利-継承: 原著作者の氏名を表示し、非営利の場合に限り自由に使用できます。ただし、改変したもの(二次著作物)を公開する時、同じライセンスにする必要があります。」*1
他にも権利の保有範囲の宣言には段階があるので、詳しくは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を参照されたい。
さて、大したことない写真しかない我がPhoto Galleryだが、過去に1回だけ、「テレビ番組で写真を使わせて欲しいのだけれど」と依頼が来たことがある。まぁ、メディア名を明かすと「テレビ東京」で、使用したいのは所ジョージさんがメインの某TV番組で、とのことであったが。その時の連絡が「使用にあたり、謝礼や撮影者の掲示等、条件を提示して頂きたい」とのことであった。
昨今twitterで騒がれている「番組で使わせて欲しいんだけど謝礼なんていらないよね? ね? ついでに著作権も貰っていいよね?」等という対応と比べて何と丁寧な対応であったか、と今になって思う。
TV番組なので“営利”だから、上記の宣言の範囲外であった。だからちゃんと確認してきたんだろう。俺の返答は以下の通り
- 著作権は放棄しない
- TV放送内で使用する以外に使用しない(頒布物等)
- 改変しない
- 撮影者・著作権者として「Terra Khan」と明記すること(実名は伏せた)
- 上記を順守してもらえるなら報酬は不要、またWebでUpしてある圧縮版ではなく原版を提供する
その後も何度もやりとりがあって、その上で番組内で使用された、らしい。…らしい、というのは、実はその番組、俺は直接視聴しなかったのだ。仕事か何かだったのと、「どうせ一瞬でしょ」と高を括っていたからだ。しかし、事前に一応告知していた親族や周囲の人達からえらい反響だった。「一瞬どころか、アンタの写真手掛かりに目的地まで行くって内容だったよ!?」
…その写真がコレ↓
精進湖・本栖湖を隔てる尾根にある「パノラマ台」から写したもの。精進湖民宿村に関する企画だったことは、後から聞いた話。「報酬要求すればよかったのに」「実名出せば売れたかもしれないのに」とあれやこれや言われたが、まぁ所詮はそんなもの外野の喧騒に過ぎないのだ。
webで容易く情報が、作品が入手できるようになった現在、思いがけずその決定的瞬間を作品として誰でも残せるようになったからこそ、メディアに使われる、あるいはスタッフが使いたいと思う需要と供給がマッチする機会は増えたのは喜ばしいことだとは思う。だが、それはどうあれ、その作品はその人のものであるという原則は何一つ変わらないのだ。機会は運命がもたらすもの、代価はその人が支払うもの。それをガン無視して「使ってやるからありがたいと思え」という意思が透けて見える輩に、誰が自分の作品を提供すると思っているのか。
これを理解しているのがマスコミで、理解していないのがマスゴミだ*2。リトマス試験紙として使うには、分かり易かろう、と、俺は思っているよ。
なお、前述の俺の写真の件だが、実のところテレ東だから受けた、というのもある。ある意味ブレないからねぇ、あのテレビ局。だが、その予測は、間違ってなかったみたいだ。Twitterで炎上するネタに、俺が知る範囲内でテレ東およびその関連局が引っかかったことはない。うん、頑張れテレ東。
*1:「はてなフォトライフ ヘルプ: クリエイティブ・コモンズとは」より引用
*2:最近はお役所も似たようなことをやっているようだが
