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暇の祈り

局所麻酔。それは医学的処置の基本である。
当科、血液内科では骨髄穿刺という手技があるのだが、骨に針刺す検査なので骨膜に局所麻酔薬を注射した後に、骨髄液を吸引する穿刺針を刺す訳だが…どうも研修医を含む若手は逸って麻酔後すぐに刺したがる。
「待て待て。あのなぁ、そんなにすぐに麻酔が効く訳ないだろう」
という訳で、暫し待たせたり、自分で待つようにしてるのだが…
待ってる間、患者さんと他愛のない話をして過ごすこともあるが、そうでなければ、実は。
待っている間に経を唱えていたりする。勿論無言で。
マスクの下で声に出さず口だけ動かしているので、ピタッと動作が止まったように見えるだろう、周りからすれば。
唱える経は、今は亡き祖父が朝に夕に偈として唱え、幼少から傍らにいて一緒に唱えていた経文だ。その一部は不確かにせよ、もう読まずとも空で諳んじられる、その一節を高速詠唱すれば、概ね局所麻酔薬が効果を発現する時間に至る(約30秒)。
「この人にどうか幸あらんことを。おじいちゃん、どうか俺にそれを成すための力を」
どうせ待つのだ。祈ってて損はあるまいて。
今日も俺は、何かを成しつつ祈るのである。「Ora et labora. (祈れ働け)」とは、見事な成句であると、思うのだ。

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