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若人よ、発表せよ、論文にせよ!


医学含め、"理系"を称すすべての学問に共通なのは。

  • 仮説を立ててそれを立証できる

のはかっこいいが、世の中そう多くはなく。しかし。

  1. 仮説を立てて立証しようとしたが、逆の結果になった。気を付けろ!
  2. ある一定までは明らかになったが、そこから先は分からん! 後は頼む!
  3. こういうことがあったらうまくいかない。お前ら俺の屍を越えて行け!

俗に"negative data"と呼ぶが、こういう論文があったっていいのである。というか、そういうのを専門に扱う雑誌(ジャーナル)すらある。Plos Oneとて“publish first, judge later”、審査員はその結論が仮説に肯定的か否定的かではなく、"標準的な手法で実験操作と結果の解析が行われ、妥当な解釈に基づいた結論が記述されているかどうか"を審判するのである。

私はかつて日本内科学会地方会を「蚤の市」と言ったことがある。誰ぞが「今の地方会は研修医のデビュー戦にしかなっていない」というから。
まぁ、そうかもしれん。何時しか"初期研修医発表"、"後期研修医発表"なるカテゴリ分類がされたあたり、なおのこと。若手医師の登竜門、とは言いたくなる。
…だが、本当にそれだけだろうか?
発表こそ研修医だが、その発表には背後がある。ノルマだから仕方ない*1と思っている病院もあるかもしれないが、俺たちはそうあってはならないと思っている。とはいえ"カッコイイ結論"ってのは、最早大規模臨床研究でしか、なかなか得られないものだ。だから、せめてもの反撃をしかける。「ここまでは上手くいったが、本当それが正しいのか、基礎研究あと宜しくゥ!」「これはやってはアカン、気をつけろ!」「こういう陥穽もあるんだ、気をつけろ!」と言った意味の内容を選んで若人の発表させている。そして、他にも"同胞(病院)がいる"と思っているから、単に研修医の登竜門
などとは思わず、"何か面白いものはないかな?"と蚤の市を散策するのである。

若人諸君。いいから論文にしろ。できれば海外雑誌に。日本の雑誌に投稿すると"罵声を浴びさせて*2凹む"が、英語含め海外語で投稿すれば、返事が縦しんば"罵倒"の類であっても-大概はそんな下劣なものじゃないんだが-"罵倒されていることにすら気づかないから"。「あーそーですか。へいへい。」ぐらいの気分で送り返せばいいのだ。

私達は獣じゃない。"野生の勘"が主なら森へお帰り。
それがいかな結果であれ、それを正しいと言わしめる過程と実証があるから、投稿し、掲載され、新たな火種-未来を照らす篝火を生むの。

*1:内科学会の発表件数が少ないと受け入れ可能な研修医の人数に制限がかかる

*2:本気で罵倒する奴もいれば、「ここを改善すればもっと良い論文になるよ」と誘導してくれる方もいるので…

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