terra-khan.hatenablog.jp
この時は"意思疎通の齟齬"の説明をしたのだが、なぜこのようなことを記したかというと、この"方向の逆走性"は、「リバースエンジニアリング」に他ならないのである。
そして実に私らしい話だが。「A→D行程」「D→A行程」の差異を説明するのにおあつらえ向きのものがある。Minecraftだ。
素朴な疑問
あのー、僕、常日頃思ってるんですけれど。
素敵なマインクラフターの皆さん、本当に凄い建築するし、「こう作ればこれが出来上がる」っていう本や動画、たくさんあるんですけど…
でも。「こういうものを完成させるには"ここを建築の起点にせよ"」っていう本や、動画、無いですよね…
前提条件
残念ながら私には新しいものを開発する能力は無いようだ。ただ「連結」と「魔改造」は多少の能力はあるようで。例えば、村を建設した際には、以下のシステムを組み合わせて、羊毛生産を自動化している。
羊毛自動刈り取り
youtu.be
動画では"半自動"と言っているが、クロック回路の工夫次第で自動化はできる(羊毛が生えきる前に発動してしまうロスを無視するなら)。
アイテムエレベーター
www.nicovideo.jp
カボチャ自動生産もさることながら、最後に登場するドロッパー式アイテムエレベーターは、半ブロックを使えばかなり高くアイテムを高所に運搬できる。アイテムエレベーターはガラス式が高効率だが、今後仕様が変わらないとも限らないので、私は原則ドロッパー式を採用している。
アイテム自動仕分け機
www.youtube.com
私は"横置き式"と呼んでいるが…ラージチェストが並ぶ「H-H方式」より横幅を必要としないのが利点。
例題
全く好き勝手に建造するならともかく、地形の条件などで"土地の利用に制限がかかる"状況で、上記の羊毛生産施設を建造するにはどうするか。まず"メインストリートに面した区画に接して商売・居住区画を設け"、それに接続して上述の仕分け機で各色の仕分け機を設ける。その上で、以上の設備を梱包した家屋を建設するとして、その背後に、上述の「羊毛自動刈り取り」システムを組み込むにはどうするか?
前提条件
- 左にアイテム分別装置を含む社屋
- 分別装置に接続するため左奥に羊毛を運搬するようホッパーを接続したい
- 羊毛を刈り取るためのクロック回路は左手前(丘側なので地中に設置できる)に設けたい
…さて、上記の条件を満たすには、どうすればよいか?
余震
動画の中でやらかしていたことであるが、Bell氏も嵌ったワナである。一段間違えて建設して、最後のつじつまがあわない。
だから逆走した。
四隅の羊を流すディスペンサー、中央の羊を刈り取るディスペンサー。この位置は絶対にこの位置、高さでなければならないので、"まず置いてしまう"。順走ならば最後に置くものを、先に置いてしまい、以後の全ての設計を固定してしまう。四方のディスペンサーにはオブザーバーブロックが接続し、そのオブザーバーブロックが認識する高さにレッドストーンは存在する。"どこを地平面にする"か規定できれば、その先の回路の設定場所も決まるのである。
ベクトル
問題はここから。必要な深度は決定した。次は方向性である。中央の"刈り取り用ディスペンサー"はレッドストーンリピーターで連結されているが、これをどちらの方向に向かせるか。
申し訳ないが、元のBell氏の動画は、「どの方向にリピーターを向けたら、結果的にクロック回路と、羊毛採取のためのホッパーの位置が決まるか」ということは、最後まで動画を見て、それで逆に考えねば分からない。
今回の事例を見よう。
これば失敗。なぜだ?
刈り取り用ディスペンサーの連結用リピーターは左から右へ設定されている。これは左の社屋を起点にBell氏の動画を忠実に再現したらこうなる。しかし。よく見れば羊毛を回収するホッパーの同線は、リピーターと同方向にしか設置できない。両側はリピーターに阻まれ、目的地に運搬するためにはUターンするしかない。その分だけ余計な数のホッパーを消費する羽目になる。一方、クロック回路を含む制御部はその反対側の左側、アイテム分別システムと干渉する可能性に位置してしまう。これではどうしょようもない。
なので、今のシステムを反時計回りに90°回転させる。
秀才と天才の境界は
私淑するてんやわんや街長は著書のなかで、こういわれた。
Good artists copy, great artists steal.
[訳] 優秀な芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む
Pablo Picasso
この本は設計図といわないまでも、細部がわかるまでかなり詳しく書いたつもりです
そのまま同じように作れば、ほぼ同じ建築が完成するでしょう。でもそれはコピーにすぎません。ぜひ、コピーするだけではなく、何かを盗んでいってください。てんやわんや街長&できるシリーズ編集部 『できるマインクラフト建築パーフェクトブック』
そうなのだ。言われた通りに作れば、その通りになる。
だが。"それを自分の世界に組み込もうとする"と、「こうすればこうなる」(A→D行程)ではなく、「こうなるためにはまずこうしなければならない」(D→A行程)が必要なのだ。そしてほぼすべてのMinecraft動画は(A→D行程)であって、(D→A行程)は「動画を見て何とかしろ」なのである。私はここに絶望的な溝があると思っている。