相変わらず登場する「ナーロッパ」話。
要はファンタジー物語は基本的に中世ヨーロッパを模したものが多い…とはいえ、勿論"一般的に中世ヨーロッパっぽい"のが舞台である。そこで登場してはいけない代表格がジャガイモとトウガラシ。両者とも南アメリカ原産なので、コロンブスを始め"新大陸"冒険が始まるまで、中世ヨーロッパにはなかったものの代表格だ。
あと重量単位のグラム(g)と長さの単位のメートル(m)。現実世界においても未だに「ヤーポン法は滅ぶべし」と言われる程度に度量衡の統一というのは難しい。そして異世界でなんでメートル法が通じるんだよ、というツッコミである。
もっと言えば、異世界なのに地球と同じ重力で、大気組成が地球と同じなんだよ、といえば、もうキリが無い。
じゃあ、いちいち度量衡を完全に別世界仕様にして物語を進めるか? となると、それも苦しい。「6ウォンゲットの金塊を手に入れた!」って言われても、"ウォンゲット"ってどのくらいよ? という話になる。いちいち現実世界のメートル法に換算して「6ウォンゲット=23g」と記載する気か。しかもその23gってこの世界でどのくらいの価値よ? これが距離も独自の単位? 誰がそんな話を読むんだ。
一番手っ取り早い前提は、"異世界転生"ではなく"タイムスリップ"。つまり同じ地球上の遥か未来の物語であることにすることである。そうすれば、読者・作者ともに既知である条件をそのまま適用できる。「藤崎竜版封神演義」や「銀河宇宙伝説」がこの類になる。特に「銀河宇宙伝説」では、宇宙空間が戦場になるために、距離の単位が"光秒"つまり光の速度が基準になっている。これは物語の舞台が異世界であろうと、同一の宇宙空間であれば"光の速度は一定"なので、実に都合がいい。
ということを考えると、実は「風の谷のナウシカ」は"いい感じにはぐらかしている"。映画版で登場した単位は実は"メルテ"*1しか使用していない。ガンシップを最高速度にする指示も「谷までもてばいい。300まで上げて!」と、単位を言っていない。
原作版では"リーグ"という単位が登場する。先の"メルテ"がメートルなら、"リーグ"は里だろう。とはいえ現実世界の"里"は、時代によってかなり変動するから、「風の谷のナウシカ」の世界では、その世界の設定がある。
…ということで、実は先駆たる「風の谷のナウシカ」では、できる限り度量衡に触れていない。どうしても単位を出す必要がある場合には、省略するか、既知の単位を真似た単位を使用している。しまいには、方角すら東西南北を言っていない。「風の谷のナウシカ」の世界の地磁気はどうなっているのかわからないが、ナウシカはミトにガンシップの航行方向を告げる。東西南北ではなく。
「シリウスに向かって飛べ!」
この一言で
- この世界では磁極はあてにならない状況かもしれない
- 全天の星の名の中で、未だに「シリウス」という名が知られている世界である=未来の壊滅した世界の物語である
- 未だに全天中で明るい星であるので、今後20万年以内の物語である(6万年後に太陽系に最接近し、その後離れていくが20万年後までは全天で最も明るい星であり続ける)
ということが言える。
とまあ、思いつくことを言ったが、そもそも度量衡の統一なぞ、過去ならず現在も達成していないのだぞ!
それの弊害の最たるものが「ギムリーグライダー(エア・カナダ143便不時着事故)」だ。ヤーポン法滅ぶべし。
ja.wikipedia.org
ナーロッパの度量衡にいちいちケチをつけるほうが、どうかしている。
*1:ナウシカが地下研究室のために掘削した井戸の深度