人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね………
あのね。抗がん剤治療を受けるかどうかなんて、医者が独断で決めていいもんじゃないんだよ。"そういう結論に誘導していいもんじゃないんだよ"。俺たち血液内科が担う患者には若年もいる。その場合はよほどじゃない限り出力最大だが、実際は他の悪性疾患と変わらず、高齢者(血液疾患で言うなら60歳以上になるかな)に多い。人生の先達に、あれこれ指図するほうがどうかしている。勿論、エトセトラを勘案した上で、「治療した方がいいんじゃないかな?」と考える訳で(昔は兎も角、今は70歳以下なら、意外とどうにかなる。存外80歳台でも意外といける。流石に90歳台以上はねぇ…)、そのうえで「治療した方がいいと思うよ?」。それでも嫌と言われたら、「まぁ、そうなるな」とも言うさ。リスクを負うことであるからな。だからこそ言うのである。「あなたは俺に比べれば遥かに人生の先輩だ。未来に確証なぞ持てない以上、こんな若造がとやかく言う資格はない。ここから先の、貴方の生き様を見せて頂きたい」。積極的治療のするしないに関わらず、(終末期医療で転院になるまでは)主治医として、責任を以て診察させて頂きます。