ちょっと呟いてみる

日々の戯言、写真、旅行記、好きな音楽、格言、Minecraftプレイ記録

あたりまえ体操

少しばかり昔の話を。
3年ほど前だったか。出張翌日の帰る前に艦娘冷却水を買いに野暮用のため秋葉原によって、それから秋葉原駅から羽田空港に行こうとした時のこと。後ろから英語で男性から声をかけられた(以下英語、お互いカタコトだったが)。
「渋谷までいくらだ?」券売機の上を見て「***円*1だ」「この駅で渋谷に行けるか?」
んー、山手線に乗れば外回りでも内回りでも着くけど、この駅、京浜東北線総武線も乗り入れてるから、そっち乗っちゃうと着かないぞ。かといって何番線に行ってどこ行の列車に乗れなんて英語で言えねーし。というか俺も迷うわこの駅! んー…
「俺は品川で降りるけど、乗る列車は同じだから一緒に行くか?」「おお、ありがとう!」
という訳で一緒に山手線外回りに乗ることになったとさ。で、まさか無言で過ごすのも気まずいので、何とか英語で話しかけてみた。
「アンタどっから来たんだ?」「マレーシアだ。秋葉原に買い物に来たんだ(電子機器っぽいものを買ったか言ってた気がするけど、詳細は分からんかった)。あんたは?」
「日本の北海道さ。仕事で来て、今日これから飛行機で帰るんだ」
「そうなのか。ところで日本ってfantasticでsystematic(発言ママ)な国だな! 綺麗なビルもたくさんあるし、道も広場も綺麗だ」
「ほう。その感想は日本に住んでる俺には分からん」
「そんなことないさ。列車だってな、日本なら降りる人を待ってから乗ろうとするだろ? 俺の国なんかドア開いた途端に乗ろうとするからメチャクチャだ」
「あー、なるほどね…」
その後は、あれやこれやの会話があったり「ごめん、今英語で言ってる内容が分からん」と赤面するような会話不成立を過ごしたあと、俺は品川で降りる時に握手を求められ、「気をつけてな」っていって手を振りましたとさ。



日本のすごいところは先端技術だ古来の文化だアニメだ、なんて言ってるけど、それは"これまで培ってきた歴史的基盤の上での担い手が凄い"のであって、別に「日本がスゴい」のではないのではないか。多分、我々が社会的良識の上で秩序・系統立って行動している"規範"こそ、国外の人々には色んな意味で"fantastic*2"・"systematic*3"だったのではないか。彼との会話はそれを示唆しているように思う。
だが、それは"自ら意識しないほどに当たり前"だから成立するのであって、「日本人は規範的だから素晴らしい」とか自分で言い出したら、もうオシマイだ。

公道を水のように、正義をつきない川のように流れさせよ。

旧約聖書 アモス書 第5章

何かの目的をもって水は低いところに流れるのではない。ただ流れるのである。
我らがすべきは"正義"とは違うけれど、誰しもが生きるこの社会において、人と人との些細なる潤滑油となりうる"規範"—それは挨拶とか先に譲るとか、そんな本当に些細なこと—を、流れる水のように、なせていける国であればいいと、心から願うのである。

*1:幾らだったか覚えてねぇ

*2:素晴らしい、という意味の他に風変わりな、異様なという意味もある語だ

*3:組織的な、系統的な、きちょうめんな

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