「よく聞きなさい、人には口が一つなのに、耳は何故二つあるかわかりますか?
自分が話す倍だけ他人の話しを聞かなければならないからです。
医療の光しか見れない貴方に医者を名のる資格はありません。」
「誰かが犠牲にならなければ救いはないと、解っている。
大人になったから、それが現実なのだと理解してる。
その上で、そんなものが理想にすぎないと知った上で、なお理想を求め続けた。
(中略)
正義などこの世にはない、と。
現実とは無価値に人が死に続けるものだと。
そんな悟ったような諦めが、正しいとは思えない……!」
「想像力の限界こそが、人の創造力の限界なのである。」
「おまえが今までの自分を否定するのなら、その罪は、必ずおまえ自身を裁くだろう。」
「全身に食らいついた泥は剥がれず、容赦なく体温を奪っていく。
五感すべてから注ぎ込まれるモノで潰されていく。
正視できない闇。
認められない醜さ。
逃げ出してしまいたい罪。
この世全てにある、人の罪業と呼べるもの。
だから死ぬ。
この闇に捕らわれた者は、苦痛と嫌悪によって自分自身を食い潰す。」
…恐らく、凄まじい精度で撃ち付けられた言葉達が、“灰白色の密室”の中でこれでもかと鳴り響く。其れは時に福音であり、また当時に執行の合図である。
唇を噛み切って流す血すら勿体無い。この血は常に誰かの為にならなければならない。