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“正直”と“バカ正直”

眠らない(ので眠い)麻酔科医のblogKU。
“正直”と“バカ正直”は違う。包含関係なら“正直”⊃“バカ正直”だろう。

  • 正直: 自己の意見・感想等を誤り無く発現*1すること
  • バカ正直: 誤り無く発現するのはいいが、わざわざそんな事しなくてもいいのにしてしまうこと。若しくは、どんなにそれが正しかろうと、それのもたらす影響をまるで勘案していないこと。

例えばリンク先の例を流用するならば。

たとえばアルバイトの面接で、「時給が低いのと店員が男ばかりなのが気になるが、ここはひとつ我慢しよう」などと言ったら、落とされるだろう。
場合によっては、「君は正直だな」などと言われ気に入られることもあるかもしれないが、さらに正直を発揮して、「あなたの息は臭すぎる」とか「アタマも禿げ上がっている」などと言った場合、どうなるかはわからない(「正直だな」のトーンが変わる可能性は高い)。

「時給が低いのと店員が男ばかりなのが気になるが、ここはひとつ我慢しよう」とか、「あなたの息は臭すぎる」「アタマも禿げ上がっている」などは、仮令間違いなくそう思っていたとしても、わざわざそんなことを言う必要性がどこにある? だからって、心にも無いことを言う必要も無いが。仮令思っていることを言わなくても、それは嘘をついたことにはならない。正しいか否か、と、情報を取捨選択することとは、話が違う。
発言にしろ、行動にしろ、何かを為す限り、程度の差はあれ、周囲に何らかの影響を与える。“発現”とは、そういうものだ。そして原則、その影響は、その行為者が責任を負わねばならない。それが「正直」だろうが「不実」だろうが関係ない。別の問題である。それを「正直であれば何でも許される」と勘違いしているのが、“バカ正直”というヤツである。
勿論、相手に不利益(不快感を覚えさせる等)をもたらすのを承知で「正直」にならねばならない事態は確実に存在する。仮令一時の不利益を生じても、それを乗り越えることによって進展なり改善なり、その不利益を上回る利益を生じうる可能性のある場合。それにしたって、不用意に相手を傷つけないよう、細心の注意を払って、然るべき手段を用いて伝えるようにするべきだ。それが相手を傷つけしてまう自己の払うべき礼儀だろう。(但し、ある答えを期待されていて“質問”をぶつけられる場合もあるが。女性の洋服選びで「これ似合ってる?」とかいうシチュエーションとか(藁)。この場合、本気で意見を求めてる場合もあるが、大抵の場合、「似合ってると貴方も思うわよね?」という同意の強要である。これは最早“質問”じゃねぇ!)
昔、まだ癌に対する告知が確立してなかった時代、学生実習中に「あなたは癌です」と言いまくっていた「告知君」というのがいたらしい(医学系都市伝説かも知れないが)。「正直なのが信条ですから」とか言って。あのさぁ、告知するのは結構だが、その後の患者さん方の悲観とか、今後の対処とか、だれがフォローアップすると思ってるの? 「正直」であったが故の影響を全く勘案に入れていない行動である。故に「バカ正直」…頼むから都市伝説であってくれ。
このような輩に対する警句は、俗にこう呼ばれる。「空気嫁

*1:ここでの「発現」とは、この世界に影響を与える行動の一切を指す。発言も、行動も。

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