崩壊組織の末路と随伴する悲劇

• 「ペシャワール会なのにか、ペシャワール会だからなのか」: 「散歩道」

ペシャワール会は数あるNGOの中でもとりわけ現地に溶けこんでいる老舗として知られている。
あまりに溶け込みすぎて、タリバン寄りすぎると批判を受ける事もあるほどに。
だからペシャワール会が襲われたのは、あまりに意外でショッキングだった。
ただただ溜息しか出ない。

「戦場に武器を持たずに行って殺されるのは自己責任」というのは賛同しかねる。“そういう類の覚悟があって赴く”のは各個人の信念に基づくべきであるし、ましてそれが“無垢なる善意”が基盤なら尚更である。“覚悟”も“情報”も無く赴いた挙句、救援への尽力に唾吐く連中とは境を異にすると考えるべきであろう。
しかし、「散歩道」の記載から慮るに、相手方も相当追い詰められた状況にあるように思われる。歴史を顧みるに、追い詰められた組織というのは、大方“見境の無い行為”に出るものだ。
それと。戦時を制するのは武器と兵士の役割だが、平和を維持するのは医療と民間の役割だ。戦時下の和平は両者が必要であるが、役割は明確に区別し、各々の役割を果たす必要がある。両者の必要性を述べると共に、それらの混同は忌避せねばならない。

戦い敵を倒すのがあなた方兵士の本分
人の命を助けるのが医者の本分
この人達は本分を貫き通したのですよ
私は意志を貫き通す人が好きです

荒川弘 「鋼の錬金術師 15」

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

…ご冥福を、お祈り申し上げます。

appendix

「『自己責任厨』ponko氏に告ぐ」: 「vanacoralの日記」

そしていかなる選択をしようとも、“理想の国の住人”に、その選択をした者についてとやかく言える権利は全くない。だのに、選択した者を嘲笑う似非理想主義者は、理想の美しさを理解できない者と同程度に、愚か者であろう。

“自らの意志に殉じた者”に鞭打つ行為、好まぬなぁ。