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オロフレ山登頂記

まずは位置関係を。
オロフレ山は白老町壮瞥町の境界の稜線上にある、標高1230.8mの山である。

白老町との境界とはいっても、登別市壮瞥町の分岐嶺である(旧)オロフレ峠からの稜線を辿って登るのではあるが。なお(旧)と言ったのは、現在の道道2号洞爺湖登別線は、登別市から旧道の直下のオロフレトンネルを抜けて壮瞥町に抜ける。登山口は、壮瞥町側から峠に至る旧道を登ることになる。
とはいえ、先のGoogle Mapの衛星写真を見れば分かるように、峠から登別側にばっくり崩落して渓谷を形成しているあたり、どれだけ交通の難所であったか、想像に難くない。
まぁ、峠がそもそも標高が高いので、オロフレ山までの高低差は300m程。登山初級のカテゴリにされている。「いつか登ってみたいな、出来れば紅葉の時期に」とは思っていたのだが、行けども行けども天候悪し。なかなか好機に恵まれなんだ。
で、週末の「Yahoo! 天気予報」で「登別市 降水確率0%」ときた。「SCW」でも9月24日日中の登別・壮瞥に雲は無しとの予報を得たり。好機到来。

前日談

とはいえ、登山は早朝に出かけて、速やかに帰ってくるのが基本。朝は好天でも、昼に荒天というのはままある話。だもんで、前泊していた。過去2回宿泊歴のある、登別カルルス温泉「鈴木旅館」。
www.suzukiryokan.jp
以前も話したかもしれないが、有名な登別温泉の多彩な泉質も良いが、個人的にはこの湯が好きなのだ。濃度が足りないので「単純温泉」扱いだが、芒硝含有量が高い…と思ったら、温泉成分表を見たらカルシウムの濃度も高いじゃない。なるほどチェコのカルロヴィ・ヴァリ(ドイツ名カールスバート)と泉質が似ているという訳だ。
ただ…

出発

一夜明けて。もう1回風呂を浴びて朝食をとり、清算をして出発。

オロフレ峠

前述の通り、オロフレトンネルを壮瞥町側に抜けたあと、そのすぐ近くの駐車展望場を脇目に進み、旧5号線の分岐に入る。旧道峠には結構な広さの駐車スペースがある。

オロフレ峠から望む昭和新山有珠山


ここからの展望も素敵ではあるのだが。

オロフレ山登頂記

登山口はどこ?

まず、駐車場から登山口がどこだかわからない。看板が腐り落ちているのだ。反対側に登ってしまうと来馬山行だしなぁ…と困ってたが、どうもトイレがある方向の、何か"看板が立っていたであろう"柱の脇に、半分ササで覆われた道っぽいものがある。これか? と思って暫く登ったあと、スマホで「ヤマレコ」の地図を確認して、間違っていないことを確信した。…っていうか、マジで登山口の案内板整備してくれよ。登山者名簿も無いじゃないか(ちなみに俺は「ヤマレコ」で登山計画を作成の上「Compass」で登山届は出している)。
土の道とはいえ、いきなり高度を稼ぐのはしんどい。

林を抜けて視野が開けたら、駐車場が眼下に。

初っ端から最大の試練

吐きそうになりながら急登を終え、稜線を歩いた先に現れる、この登山最凶の危険地帯「羅漢岩」。
崖に這いつくばって鞍部に下りなければならない。

崖を下りる前の地点から。中央左下に見える道のようなものは、まさしく旧道。

渓谷の向こうに立つ「羅漢岩」。こちらの道も、あの程度の険しさに近いと思ってもらいたい。
崖に這いつくばる登山道は、くの字に曲がっており、まっすぐ下りる訳ではないのが、さらにいやらしい。滑落すれば、数百m真っ逆さまである。

鞍部から南側(太平洋側)の渓谷を望む。

鞍部から羅漢岩を望む。

羅漢岩からケルンへ

羅漢岩の北側を巻いて向こう側へ登る。

回り込んで、改めて羅漢岩を望む。

先のガレ場とは違い尾根伝いではあれど、眼下に深い渓谷が掘れているのは違いない。それでも、周りの風景を見渡す余裕は出てくる。

羊蹄山は未だ雲を纏い。

あの岩の名前何だっけ?


登山道途中にある、稜線上の巨岩。穂高連山での「ジャンダルム」みたいなものか。とはいえ正規の登山道は、ピークのある南側山腹(写真右下)を通るので、あそこに登る必要はない…のだが、どうにも挑戦者が多いらしく、尤もらしい道筋まで分岐している。まぁ、俺は知らん。

左のピークがオロフレ山。こちとらあれに登らにゃならんのだ。

南側、太平洋を望む。

左に有珠山昭和新山、その右に洞爺湖、右端に羊蹄山

1000mケルン


登山道の事実上の中間点、鞍部にある「1000mケルン」から、これから登るオロフレ山を望む。ここで大休止。
"事実上の"と言ったのは、直線距離にすれば、この地点は山頂寄り。だが、しばらく尾根歩きだったのが、ここから一気に高度を稼ぐことになる。ここで十分休んでいけ、ということだ。
視界が開けている分、遠くまで望める。

樽前山・風不死岳



…ここからが、本当の地獄だ。

山頂までの急登

まず、前衛峰の登りが体力を削って来る。その前衛峰を制した先に

まさかのガレ場急登再び。先の羅漢岩ほどではないが、それでも足を滑らせれば突出した岩に容赦なく叩きつけられるか、崖下数百m滑り落ちるか。挙句、まだ岩を掴んで登れるなら良し、ザレ場を数m直登するような箇所がある。殺す気か?
地獄のガレ場を登り切った先に、まだ土道だけマシだが急登が待っている。心折れそうになるが、最後の踏ん張りをみせて登り切った! …と思ったら、もう少し尾根伝いの道が続く。昨今の雨で開削されてしまって歩きにくいったらありゃしない。
ようやく、山頂到着。

登頂


8:45頃登頂開始し、10:43頃登頂。標準タイムから40分近くオーバーしているが、まぁ、しゃーない。

(北海道)駒ヶ岳


駒ヶ岳見えてるじゃん! 噴火湾の向こう側だぞ?

徳舜瞥山(左)・ホロホロ山(中央)

徳舜瞥山・ホロホロ山と風不死岳・樽前山

風不死岳・樽前山

倶多楽湖と太平洋

徳舜瞥山・ホロホロ山と風不死岳・樽前山

羊蹄山


すげぇ。この一帯で他に高い視界を遮る山が無いから、360°展望が開ける。最高の展望台だ。

下山開始

30分ほど山頂でキャッキャしたあと、下山開始。本当は山頂でカロリーメイトゼリーを摂取するつもりでもってきたのだが、実は朝食の「お櫃の呪い」で白米を大量摂取していたので、まぁ、いいかな、と。
で、先の地獄のガレ場で、思わぬ花に出会った。

?


後で調べる。この時期に花が咲いているとは思っていなかったのだ。

?


ケルンに戻る手前で。

1000mケルンに戻る

登りは体力を削られる。帰りは精神的に削られる。ガレ場は、根性出せば登れるが、降りるのは凄まじい集中力が必要なのだ。さらに"膝が笑う"。降りる時に使う筋肉って、普段使わないからね。
ともあれ、まずケルンまで戻って来れば一息つける。ここで大休止。

ここからも洞爺湖は望める。

倶多楽湖はここからの方が分かりやすかったんじゃないか?

誰?

ケルンから羅漢岩までは、アップダウンこそあれど、普通の尾根道なので単純な体力勝負。まぁ、もちろん登りになる度に休止を入れざるを得なかったのだけど。
その途中。小鳥が飛びまわるのを見た。普段ならキャッキャして野鳥観察に勤しむところだが、今はそんな体力はない。それに、シジュウカラだしなぁ…
そう思って下山を続けた途中、聞いたことのない鳴き声が。「?」と思って立ち止まったら、大きい羽音を立てて、崖下すぐ近くの木の枝に、ソイツは留まった。

ミヤマカケス


とっさの事であったので標準レンズで撮影。撮影できたのはこの1枚のみ。450mm砲に換装しようとしたが、当然待ってくれることもなく。
後で調べたらミヤマカケスであった。本州以南にいるカケスとは色違いの亜種とのこと。

再び羅漢岩


羅漢岩直前の鞍部から再び撮影。ここで小休止し、気合を入れて岩にかじりつく。「落ち着け、ゆっくり、慎重に」と独り言を言いながら、難所を突破。
残りは、登る時には嘔気すら催した土道の坂道を、慌てずゆっくり降りながら、12:20頃、駐車場に帰還した。

下山、その後

で、だ。山頂はスマホが使えたのに、オロフレ峠駐車場ではアンテナ1本もしくは通信不能ときたもんだ。「黄渓駐車場」まで下りてから、「Compass」に下山報告を、X(旧Twitter)にポストした、というわけだ。

垢落とし

そのまま道道2号で山を下り、国道453号に入って洞爺湖温泉で汗を流して帰還。お疲れさまでした。
え? なんで道道2号を下りて登別温泉虎杖浜温泉に行かなかったって? そりゃ、考えてたけどさ。来た道戻るのって、癪じゃない?

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