Minecraftで「選択の廟」を造ってみたい気はする。 https://t.co/NA47reBhLE
— Terra Khan (@DrTerraKhan) January 1, 2026
以前から考えてはいたが、そもそも選択のからくりを理解しなければ構築のしようもない。いわば"歩くレッドストーンシステム"である。まぁ、それに医学的にも題材としては面白いしね。これを題材にして医学生や研修医に解説していたら、後輩の女医が
「先生、『薬屋のひとりごと』知ってるんですか? あれ少女漫画ですよ?」
「俺がジャンルなんていう枠にくくられると思ってるのか? あれ、面白いじゃない」
知ったこっちゃないね。面白ければよかろうなのだ。
本題
"そういう意味で"気に入っている話は幾つかあれど、今回はアニメ版31話「選択の廟」(小説版第53話)。
ネタバレ回避願いたい。まず、前提として先の「選択の廟」の内容は知っているものとして話を進める。
現皇帝のルート

こうなる。「?」は小説版でもアニメ版でも"省略された"部分。要はどうあっても「王の子よ しかし王母の子ではない」に行き着いたということ。
で、同伴した猫猫が、アルキメデスの如く何やら地面に描きだしたので、ではリトライ、ということになった。
で、猫猫のルートを推定した結果がこちら。
2型色覚
嘗ては"色盲"とも呼ばれたが、差別用語だとして今は「色覚異常」と呼ばれる。幾つかのパターンがあるが、その中でも多いのが「2型色覚」、つまり赤と緑の区別がつきにくい色覚異常である。というより、人間(ヒト)を含む直鼻亜目サルは赤と緑の区別がつきにくい、どころかそれ以外の哺乳類は全部赤と緑の区別が"つかない"2色型色覚なのである。
魚類を含め脊椎動物は哺乳類を含め4色型色覚、4つの可視光線の波長を分別できる網膜を持っていた*1のに、ペルム紀末の史上最悪の大絶滅を乗り越えた哺乳類の祖先は、地上を跋扈する双弓類*2の足元で夜間に活動するようになった。暗がりでの活動が主たるものになった結果、色覚があまり役に立たなくなり、2型色覚(赤と青の判別ができる)になった。それは中生代末の大絶滅を経て、哺乳類が地上の覇権をとっても、あまりかわらず現在に至る。いま傍らにいるイヌもネコも、2型色覚なのだ。
しかし、サルはその生活のうえで果実を食料にするようになり、色覚が必要になった結果、網膜の赤色をメインに感受するL型錐体細胞の"パチモン"として、"ちょっとだけ波長の短い可視光を主に感受する"M型錐体細胞が登場した。しかし所詮"パチモン"なので、それほどL型と感受性の波長ピークが離れている訳でもない。
commons.wikimedia.org
挙句、L型錐体細胞の遺伝子は性染色体であるX染色体上にあるため、男性はX染色体は1本しか持っていないため、当初は男性は2型色覚のままになっていた。途中で相同染色体組み換えでY染色体にもこの遺伝子が乗るようになったので、ようやく男性も2型色覚から脱したのである。
というわけで、そもそも人間(を含む直鼻亜目サル)の3色色覚は性能は良くない上に、性染色体上にある故に男性に2型色覚が多い、女性でもX染色体2本のうち1本は不活化されるので、やはり3色色覚は良いとは言えないのである。
王母の子
本題に戻る。結局のところ、「選択の廟」とは、意図的に"2型色覚"を選別し、皇帝に据えるためのシステムだったといわけだ。

疑似的にこの作品内での2型色覚を色調スペクトラムとして示したが、これが現実の2型色覚に該当するとは思わないで欲しい。そもそも遺伝子の有無どころか、その遺伝子の発現量でも識別能に差が出る。かくいう私も、右目と左目で赤色と緑色の判別能が違う(片目で見た時に色合いが若干異なる)のだ。
それはそれとして、猫猫本人はそう見えてないが、2型色覚を理解する者として進んだ先が上記のルートである。
小説版やアニメ版で明らかになっているルートを明示すると、こうなる。
:imag
もっとも、「?」で表記した部分には、もっとたくさんの分岐があったのだろうと予想される。猫猫が辟易する程度には。おそらく"偶然による当たり"を回避したかったものと思われる。猫猫もその可能性は指摘している。
Minecraftでこの廟を建設しようというなら、さすがに「?」の部分は省略せざるを得ないだろうな。かつアニメ版でもあったように階層構造をもつ3次元構造でなければならないだろう。うわー、厄介だなぁ。"ハズレ"の脱出路まで考えないといけないとなると「栄螺堂」より性質が悪いかもしれない。
で
任氏はどう見えていたのかね。
これまで述べた通り、この「選択の廟」は、2型色覚の者を選別するシステムだ。そのシステムの目的は?
あとは小説版、漫画版、アニメ版のいずれもお好きにお選びくださいませ。

