…少しだけ、結界を緩めよう。だってこれから記そうとしていることは、“いまやっていること”と、特に関連は無いんだから。
起動呪文が随分と悟ったような、欲を捨てたような言い方をしているというのは、ご指摘の通り。何故ならそれは、それこそ欲にゴテゴテに汚れきった“現状の自分”を文字通りコロスためのものなのだから。
自分が欲にゴテゴテに汚れきっているのも事実。欲しがるものが手に入らなくて拗ねているもの事実。しかしまた、「己が欲しいものをただ求めるばかりに、もっと大切なものを失っては本末転倒である」という事を、冷め切った理性が理解しているのも事実。またあの日に誓言した「祈り」もまた偽らざる事実。
真っ向から対立する自己が闘うための武器が起動呪文で、その戦場が固有結界で、その闘いがジハードなのだ、と。
まあ、双方相打ちして心神喪失、というのも、オチとしてあるとは思っているがね。