貴方がどれだけ「卑怯で、愚鈍で、狡猾で、つまるところ嫌なやつ」なのか判断する根拠を私は知りえないが、自分で言ってる限りは、そうなのだろうと思う。何故なら、貴方は嘘をつくような人ではないと、私は判断しているからだ。「決してそんな人ではない」と貴方の発言を否定してみたところで、実名も姿も判らぬ、どこぞの馬の骨に何を言われても、それこそ“安っぽい台詞”にしかなるまい。ならば敢えて貴方の発言を信じる事に賭ける。
しかし仮令それが真実であろうと、それは“最低ではない”と判断するに足る。これは“安っぽい台詞”などではない。「卑怯で、愚鈍で、狡猾で、つまるところ嫌なやつ」と貴方が嘆くことを真実とするならば、それは貴方が自己をしっかり認識している、という事実と等しいからだ。——この娑婆の救いようのない輩というのは、往々にして自覚に欠けているのだから。自覚する者は、それを足掛かりに、次の一歩を踏み出すことが出来よう。
しかし、次の一歩を踏み出さなければ、最低ではなくともそれ以上でもあるまい。ただ、“一歩を踏み出す”というのは、なかなか勇気と機会と時間と労力が必要なもので、誰でもひょいひょい出来るものでもない。それら代価を厭うて停止するもの、また一つの選択肢なのだろう。私は何も思わない、何故ならそれは私の人生ではなくて、そのヒトの人生なのだから。好きにすればいい。しかし貴方がスタートラインを自ら切ってみたかったら、一声掛けておくれ。肩代わりは出来んが、負荷分散と僅かながらの介入ぐらいは、出来るかもしれないから。