ちょっと呟いてみる

日々の戯言、写真、旅行記、好きな音楽、格言、Minecraftプレイ記録

なんとなくメモ

とおい昔の噺だ。人間は救いきれぬ。生きていく以上、どうあっても報われぬ者が出てしまう。すべての人間は幸せになどなれぬ。ならば———救われなかった人間とは何だ。その一生は何をもって報われるのか。
答えはない。無限と有限に等しいのだ。救われぬ者がいなければ、救われる者が吐き出されない。ならば——救済など、ただ巡るだけの金貨と同じだ。
人間は救われない。世界に救いなどない。だから死を記録しようと思った。物事の最後までを記録して、世界の終わりまでを記録して、一から最後までを検分する。その上でなら、一体何が幸せだったのか判別がつくだろう。
報われない者も救われない者も、その全てを一から見直すことができるなら———何が幸福と呼ばれるものかを判断できる。世界が終わった後、この出来事こそが人間の意味だったと解るのならば——無意味に死んでいった者達にも、総じて意味が与えられるのだ。故に世界が果てれば、人は、人間の価値というものを検分できる。
それだけが———唯一、共通の救いである。

奈須きのこ空の境界<下>」

空の境界 下 (講談社ノベルス)

空の境界 下 (講談社ノベルス)

当blogの記事全文の転載は固くお断り致します。原著作者(Terra Khan)の氏名を表示した引用、トラックバックは構いません。
「Terra Khan's Photo Gallery」の写真はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの指定に準じ、原著作者(Terra Khan)の氏名を表示し、非営利の場合に限り自由に使用できます。ただし、改変したもの(二次著作物)を公開する時、同じライセンスにする必要があります。各写真の署名の記載の通りです。