2っの概念がある。
とおい昔の噺だ。人間は救いきれぬ。生きていく以上、どうあっても報われぬ者が出てしまう。すべての人間は幸せになどなれぬ。ならば———救われなかった人間とは何だ。その一生は何をもって報われるのか。
答えはない。無限と有限に等しいのだ。救われぬ者がいなければ、救われる者が吐き出されない。ならば——救済など、ただ巡るだけの金貨と同じだ。
人間は救われない。世界に救いなどない。だから死を記録しようと思った。物事の最後までを記録して、世界の終わりまでを記録して、一から最後までを検分する。その上でなら、一体何が幸せだったのか判別がつくだろう。
報われない者も救われない者も、その全てを一から見直すことができるなら———何が幸福と呼ばれるものかを判断できる。世界が終わった後、この出来事こそが人間の意味だったと解るのならば——無意味に死んでいった者達にも、総じて意味が与えられるのだ。故に世界が果てれば、人は、人間の価値というものを検分できる。
それだけが———唯一、共通の救いである。
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俺だって明治政府は大嫌えだし許す気もしねェ
お前みてーに今でも時々ブッ壊したくなる気持ちにもなる
けどな その明治の中で懸命に生きている連中がちゃんといて
そんな連中のために未来を信じて闘ってる奴だっているんだよ!
時代に絶望するのはてめえの勝手だが安慈
まだ希望を持っているモンがいる限り生殺与奪なんてふるいはこの俺が許さねぇ!るろうに剣心―明治剣客浪漫譚 (10) (ジャンプ・コミックス)
- 作者: 和月伸宏
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もう俺は死んでしまった人間だから、この世界に希望なんてモノがあるなんて到底信じられないけれど。
誰かがこんな娑婆でもなお“希望”を高らかに叫ぶことが出来るなら、オレはそれを現実に転化するための概念兵器となる。
…それが、俺が“今際の際”に見た最後の夢。そして事もあろうに、それが不可能なことも解っている分だけ度し難く救い難い。
だって、そんなの“魔法”じゃないか。
「魔術は今できる事を、個人の力で気が遠くなるぐらいの時間を費やして可能にする事にすぎない。(中略)残念だけど魔術は秘儀、禁忌の類であれ奇跡にはなりえない。———奇蹟っていうのは、人間の手では出来ない事を言うんでしょう? 今の地球上でいかなる資力をつくしても出来ない事。それを可能にするのが魔法使い。つまり魔法という事ですね」
(中略)
「ふぅん。そうなると最後の魔法っていうのは、みんなを幸せにすることぐらいになっちゃうな」
- 作者: 奈須きのこ
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