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ひょっとこ乱舞 第25回 最終公演「うれしい悲鳴」 鑑賞記

ひょっとこ乱舞 第25回 最終公演「うれしい悲鳴」観てきました。主目的は“勿論”「なっちゃんの追っかけ」(最早公言www)。ただ、彼女が本格的に役者を志す契機になった作品と言われれば、診に行かない理由は、最早無い。
別に大したネタばれは無いと思うけど、一応隠しを。

台本を買わない理由

実は、Minami Produce(MP)とは異なり“台本を買ってない”。それにはちゃんと、理由がある。
最大の印象は、「あぁ、こういう種類の“演劇”もあるのか」。今まで観た演劇は、キャストは少数だったけど、今回の出演者数は24名。ミュージカルに似たようなマスゲーム的パフォーマンス(表現が的確かどうか自信が無いが…)や、一人の人物を複数のキャストが演じる、長台詞のまくしたてなどの演出は、今までの演劇には無かった。いわば「“場”で出来事の進行を紡いでいく」タイプの演劇だった。その演出に魅了された。が、「“場”を愉しむ演劇」なので、買うべきは台本ではなくDVDだろう。ただ、物語の内容が結構重いので、只でさえ“精神のメルトダウン”を起こした俺には、DVDを何回も見るのは、ちと辛い。だから、申し訳ないが「何も買わなかった」のである。
対比させてしまって申し訳ないが、MPの演劇は脚本の完成度が恐ろしく高いので、演者はその脚本の物語を如何に演技で伝えるか、謂わば「観る小説」なのである。だから観劇後も台本を読むことを楽しめる。勿論、これはどちらかの優劣があるか否かの問題ではなく、種類の違い、個人の好みの問題である。なお、種類としてはFLIPLIP 『オモイオモイ』*1は、丁度中間型なようにも思える。

この国の最高意思決定者は誰?

しかしこの脚本も痛いところを突く。物語は問う。主人公たちを悲劇に至らしめる“敵”、この国の最高意思決定者は誰なのか? それは“空虚”である、と言い放つ。何せ“さるお方が或る状態にある”*2のがこの物語の設定で、しかもそれが物語の転換の契機になっているのだから、凄い物語である。
その通り、この国、日本の最高意思決定者は「誰でもない」。皮肉を言うならば、奇しくもこの演劇を魅了する素因である“場”である。最高責任者を決定できない、寧ろそれこそが“日本人のアイデンティティ”である。日本を象徴する“あのお方”が、物語の設定で“そういう状況”であることこそ、その「象徴」にしているのなら、脚本家も大した皮肉屋である。
ただ、最早仕方があるまい。日本人とはそういう民族なのである。「最高責任者を決定できない」日本の政治システムは、約1400年(!)前に、ある著名人によって明文化されている(明文化、ということは、それ以前からそういう政治形態だったっということに他ならない。実は、そこが俺が趣味で知りたい、この国の成立の根源に関わることなのだが)。何せ条文の優先順位が3位が「天皇家*3、2位が「仏教(宗教)」、で1位が「和」なのだから。しかも最後の17条目に「大事なことはみんなで相談して決めろよ」と念を押すありさまである。もう、何の事だか言うまでも有るまい。詳細を知りたくば井沢元彦氏や関裕二氏の著作を読まれるとよい。

逆説の日本史〈2 古代怨霊編〉聖徳太子の称号の謎

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古代日本列島の謎 (講談社+α文庫)

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一つだけ文句を

という訳で、随分楽しませてもらった演劇であったが、一つだけケチを付けたい。物語で登場する“或る部隊”の訓練の最終項目、実はあれ、福井晴敏の『亡国のイージス』の原作小説版*4に全く同じものが出てくる。つまりオチが分かっている。何度も言っている事だが、オチが予め分かっているネタほど、つまらないものは無いのだ。

亡国のイージス 上 (講談社文庫)

亡国のイージス 上 (講談社文庫)

凄い個人的なメッセージ

流石にケチでエントリを締める訳にはいかないので。全く驚いた。あの小さな体から、どうしてあんなに元気に大きな声が出せるのか。そして、やっぱり君の笑顔は素敵だ。なっちゃん、千秋楽まで頑張れ。

*1:同演劇の鑑賞記はこちらこちら

*2:ネタバレというより、“不謹慎につき”あんまり公言したくない。まぁそれも言霊信仰だとは思うが、察せ。後述ですぐ分かると思うがな。

*3:天皇家が宗教の下位にあるのは、太古の権力者は祭祀者であり、政治がまつりごとであったことからは必然であろう。

*4:映画化されているが、映画ではこのシーンは省略されている。

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