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その絵は生きているか?

トレース(転写)・模写に関しては、画力に圧倒的な差が出る。>>251が「そもそもスラムダンク自体が、結構アメリカのバスケの写真をトレースしてるし……」と言っているが、ただ写真を転写・模写しただけでは、その絵に全く臨場感・躍動感が出ないのである。元の写真に幾ら躍動感があったとしても、それをそのまんま絵にしたら途端にそれは失われる。それは最早漫画でも絵でもなく、ただの"記録"である(文化財や考古学的資料の保存ならそれでいいんだけど)。だからこそ、コマの配置や効果音・感嘆符、前後のコマとの変化によって、"絵"なのに動いて見える"・"その場にいるような感覚になる"ように仕向けるのが、それができる漫画家が素晴らしいので、それができないのがパクリであると思っている。井上雄彦氏が漫画の登場人物を躍動的に描けることにおいて、それがスポーツ漫画(SLAM DUNK)でも、歴史漫画(バガボンド)でも通用するのは至高の技術であることに他ならないのである。
…なんで絵を描けない俺がこんなことを書いているかといえば、写真も似たようなものだからである。素敵な写真を見て、「俺もこういう景色を撮りたい!」と思って勇んで同じ場所に立って撮影しても、その元の写真と同じような感動を覚える写真を撮るのは、極めて難しい。皆さんも経験は無いだろうか? 旅行先で写真を撮りまくったはいいが、いざ帰って現像してみると、「あれぇ? こんなんだったかなぁ?」と思うことが。風景ですらその有様である。いわんや、木々のざわめき、木漏れ日、風の流れ、あるいはスポーツ選手のワンシーン、結婚式での浮かれ騒ぎなど、静止画から臨場感・躍動感を見た人に伝えるのは、とんでもなく難しいのだ。
パロディやオマージュに関しては、元ネタの"面白さ・奇抜さ"を借用(転用ではない)できたら、そうだと言えよう。
元ネタの素晴らしさを再現できない、借りれば自分の作品も同等になると思っているのがパクリだ。素晴らしさの再現ができたのがパロディやオマージュ、元ネタを踏襲しつつその上を行くのがインスパイア、さらになお元ネタの作者に"敬意を表する"のが、リスペクト(respect)だ。

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