「Fate/Zero<1>」はとうの昔に読了。ただまだ第1巻——まだまだ物語の端緒——だし、またネタバレになっても困るので、内容には触れず。
ただ、作者である虚淵玄氏のあとがきの一説に、「激しく同意」と言いたくなったのだ。
(前略)
ヒトの幸福という概念にどうしようもない嘘臭さを感じ、心血を注いで愛したキャラたちを、悲劇の縁に突き落とすことでしか決着をつけられなくなった。
物事というのは、まぁ総じて放っておけば悪い方向に転がっていく。どう転んだところで宇宙が冷めていくことは止められない。"理に適った展開"だけを積み上げて構築された世界は、どうあってもエントロピーの支配から逃れられないのである。
故に、物語にハッピーエンドをもたらすという行為は、条理をねじ曲げ、黒を白と言い張って、宇宙の法則に逆行する途方もない力を要求されるのだ。そこまでして人間賛歌を謳い上げる高潔な魂があってこそ、はじめて物語を救済できる。ハッピーエンドへの誘導は、それほどの力業と体力勝負を作者に要求するのである。
(後略)