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5億年の重み

「5億年ボタン」という話を知っているだろうか?
matome.naver.jp
多分、キリが良いから"5億年"という設定をしたのだろうが、奇しくも丁度5億年程前に、現在生きているほぼすべての種類の動物の、分類学上の"門"レベルでの分化が生じたのだ。言い方を変えれば、生命の起源は同じだろうが、我々人間を含む脊椎動物が、昆虫やカニ・エビといった(事実上のこの惑星の覇者である)節足動物イカ・タコ・アサリ・アワビなどの軟体動物、ミミズ・ゴカイなどの環形動物、ウニ・ヒトデなどの棘皮動物、その他諸々の動物と袂を分かったのが、丁度約5億年前なのである。

さて、「インテリジェント・デザイン」という概念がある。
wikipedia:インテリジェント・デザイン
要は「こんな精密な構造(脳・目・腎臓など)を自然界が作れる訳ない! 神様がお創りになったに違いない!!」っていう信仰である。
どっこい、眼というのは確かに精密な組織であるのだが、それだけ作るのが"面倒くさい"。もっと正確に言うと"めちゃくちゃコストがかかる"。50万円の中古の車で生活ができるなら、別に2000万円の車なんて要らないのである。ましてや、生き死にに関わる話なので、生きていくのに贅沢なんぞ要らんのである。単純な眼を持つ生き物に言わせれば「へ? 苦労してそんな面倒くさいもの作ってお疲れさん。俺ら別に要らんし」。
逆に言えば、精巧な眼を持つ生き物は、「それがなくては生きていけない」のである。人間はヒエラルキーを重視する傾向にある(それはサルであったときの名残でしかないのだが)が、食物連鎖のピラミッドの上下は、実はヒエラルキーではない。上位にいる生物ほど個体数が少ないのは、「食えなければ死ぬ」という縛りがかかっているからである。軟体動物のなかでもイカ・タコは極めて精密な眼を持っているが、何でそんな"高級車"を持っているかと言えば、エサを早く見つけないと死ぬし、敵からすぐ逃げないと死ぬからである。「イェーイ、俺の眼すごいだろ!」とか、自然界でイキっている場合ではないのである。
だが、イキりたくなるほど精巧な構造をしている臓器を持っている生物を知ると、ニンゲンは「こんな精密な構造を自然界が作れる訳ない! 神様がお創りになったに違いない!!」と思いたくなる。それだけ精巧なのである。勿論そんな訳ない。他の生物にとっては「別に要らんし」っていうだけだったのである。

さて、本題。もう一回"逆に言う"。5億年とは、「神様がお創りになったに違いない!!」と思わせるほど精巧なシステムを、生物が試行錯誤と淘汰の果てに作り上げるのに要した時間に他ならない。数cmの"ミミズのような生き物"が"ヒト"になるまでの時間が、約5億年だ。人間の考える所の"神"が成しうることを生命が自力で達成するのに要した時間が5億年だ。人間の思慮が及ぶのは普通は高々数十年。京都や奈良とて数百年、1千年。ヒトが人になるのに数百万年、恐竜が生きていたのが1億年前、生命が陸に上がったのが3億年。5億年とは、それだけ長いのである。

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