ちょっと呟いてみる

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(1万年と)2000年前から

あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。

マルクス・アウレリーウス『自省録』第4巻17 / 神谷美恵子

古代ローマの遺跡に、当時の人の落書きで『最近の若いモンは』と書かれていた」というのは、どうもガセネタなようだが、こちらは正真正銘。第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリーウス・アントニヌスの著作『自省録』の一節である。彼の在位期間は紀元後161-180年なので"約"2000年前なのだが。
彼がいちいちこんなことを呟いているーというか、『自省録』の全てが彼の呟きの総決算なのだがーということは、当時から人々は、自分が明日、否、次の瞬間にも死に至るなんて考えもしていない。それどころか、1万年先も俺って生きてるんじゃね? と、自分に死が訪れることを全く意識などしていなかったという事への反駁なのではないだろうか。もっとも、いつか誰しも必ず迎える死という結末に、背を向け続けた結果なのかもしれないが。
…2000年前すらこれである。なまじ医療技術が発達した今日だからこそ、猶の事、自分は、自分の血族はまだまだ生きられるはずだ、と妄信してしまうのではないだろうか。"あたかも一万年も生きるかのように行動する"のだ。しかし現実はそうではない。"死"という結末は、それが早い遅いの違いこそあれ、万人に等しくやって来る。だから「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。」と哲人皇帝は自らに投げかけたのである。
人間は、2000年程度じゃ、本質は変わりはしないのである。

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