前日談はこちら。
terra-khan.hatenablog.jp
さて。
「本日曇天ナレド山頂目視可能ナリ」
Operation Peridotの中核、アポイ岳登山開始!
7:30 アポイ岳ジオパークビジターセンター集合・登山開始
この場所でガイドさんと合流し、ほどなく歩いたところにある登山届に記名し、登山開始。
針葉樹と広葉樹が混じる樹林帯を歩く。前回はこのあたりでも結構花が見つかったのだが、今回はさっぱり。
先行き不安だなぁ…と思っていたのだが。
ケタチツボスミレ?
エゾシカに出会う
9:20 五合目休憩小屋
アポイ岳5号目休憩小屋なう。 pic.twitter.com/yfNwmvlE5S
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
イブキジャコウソウ アルビノ種
同種のアルビノ。
さて、ここからがアポイ岳登山の本当の試練。ほどなくして森林限界を超え、延々とガレ場が山頂近くまで続く。しかも急登。日頃の運動不足が恨めしい。
その道中にも花は咲く。
アポイヤマブキショウマ?
エゾツツジ
イブキジャコウソウ(アルビノ種)
10:30 馬の背
少しばかりのビークをトラバースして、鞍部「馬の背」に到達。
アポイ岳馬の背なう。 pic.twitter.com/E5URa3wfN0
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
この前後は写真撮影ラッシュ。固有種もかなり咲いている箇所があって、ガイドさんがびっくりしていたくらい。ただ、見ての通りの登山道なので、撮影も登山も必死。
エゾコウゾリナ (固有種)
アポイ岳の固有種、エゾコウゾリナ。この花を見られただけでもかなり貴重らしいのだが…
次の岩山で、結構咲いてましてん。ガイドさんが「こんなことってあるの?」と驚いてた。
近接撮影できるのも、岩山にたくさん咲いていたから。
エゾルリムラサキ
アポイヤマブキショウマ
チシマキンレイカ
11:40 山頂到着
アポイ岳登頂。 pic.twitter.com/F18vOAKNi5
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
必死こいて山頂到着。山頂からの風景写真はないの? ありません。実はアポイ岳、森林限界を超えてガレ場が続いているはずなのに、なぜか山頂付近だけシラカンバの林になっているという、謎な植生をしているので、展望が開けないのである。
昼食摂って12:20下山開始。
山頂→12:50 馬の背
馬の背まで戻って来た。 pic.twitter.com/FZyvTNXsUC
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
30分ほどで下山したのはそれなりに速いペース。なぜなら俺の脚は結構限界で、下山時にプルプルするからだ。もう花には目もくれず、一目散に下りた…はずなのだが、ガイドさんの「あの花*1は激レアだから絶対撮っておいたほうがいいって! "アレ"使って!」
アレとは、これである。
www.ricoh-imaging.co.jp
いや、あの、足場幅が俺の足の長さ程の断崖ステップの上でこのレンズ*2に換装し、数百mは転げ落ちそうな断崖に突き出た4-5m先の、数cmの花を狙えと?
…いや、撮りましたともさ。
死ぬかと思った。
馬の背→13:40 五合目休憩小屋
あの小屋までおります。 pic.twitter.com/YfBQpBdYBd
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
山頂からだいぶ下りてきたとはいえ、まだ眼下にある五合目休憩小屋。登りの急登を一気に下るわけだが、ぶっちゃけ下りのほうが怖い。疲れた足はプルプル、また下りには普段使わない筋肉を使うのですぐヘタレる。とどめに、この山は橄欖岩が主体なのだが、一部蛇紋岩に変化している。この岩、とにかく滑るのである。今回は登山時終ぞ雨は降らなかったが、濡れるとどうしようもないくらいに滑る。もうひとつは、今までのガレ場があまりにも急で、足場が悪く、片方は奈落の谷の底なので誰もが十分気を付けるのだが、ここはなまじ階段状になっているので、特に若年者で多いらしいが、一気に下りようとして事故ることが多いのだそうだ。アポイ岳登山で事故るほとんどは、馬の背-五合目休憩小屋のこの区間だとのこと。まぁ、俺に言わせれば、こんな急坂で余裕こける気が知れなかったが。
ともあれ、無事五合目休憩小屋に到着。
5号目休憩小屋まで戻って来た。 pic.twitter.com/wTz7EgbvX5
— Terra Khan (@DrTerraKhan) July 3, 2023
五合目休憩小屋→15:10下山
ここから先は消化試合。今までのガレ場で苦闘していたのとは打って変わって「ああ、道だぁ…」多少石や木の根があって歩きにくいが、今までのことを考えれば、まったくどうということはない。とはいえ水平距離で3kmほどあるので、各所の休憩地点で休み休み。なんとか無事に下山できた。
アポイ山荘ホテルから望むアポイ岳
登山を終えて
GPSギアの登山記録。
とにかくめっちゃ大腿四頭筋が痛い! 登山で事故るのは大抵下り。登る時に使う大殿筋は、普段歩いている人なら鍛えられているが、降りる時に使う、下腿を進展させるのに使う筋肉というのは、普段の生活ではそれほど使うものではない。ジムで筋トレしていた時には、マシンで意図的に大腿四頭筋や内転筋群を鍛えるように意識していたが、新型コロナウイルス流行で、ジムに行かなくなってしまったので、そのあたりの筋肉の鍛錬ができていなかった。まぁ、ともあれ、無事に下山できたので、良しとしよう。
なお。
俺たちはゆっくり下山していたので、他の登山者に先を行ってもらうことが多かったのだが、その中でストックを持ったご婦人の一人、ストック先にカバーがついてない方がいた。訊けば登っている途中でいつの間にか取れていたのだとか。ガイドさんがストックカバーを1つ渡してつけてもらい、先に下りてもらった。あれば、登山道を保護するためとはいえ、無くした登山者に一々渡していては、出費も大変だろう…と思っていたが、実はあのストックカバーも"拾い物"らしい。
もう一つ言うと。俺はストックは使わない。今回のアポイ岳でもストックは不要どころか、邪魔にしかならないと思っている。五合目休憩小屋より上のガレ場の登山道では、ストックを突く場所すら危うい。カンラン岩が変質した蛇紋岩では、濡れると滑りやすくなるのでむしろストック先が滑り危険。急斜面はグローブをはいた*3両手で両側の岩を把持しながら、低姿勢でゆっくり降りていくのが一番安全。この時、ストックがあると邪魔だ。