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Operation Peridot extended day3 "Core Mission!" 「アポイ岳登頂記」

前日談はこちら。
terra-khan.hatenablog.jp
さて。
「本日曇天ナレド山頂目視可能ナリ」
Operation Peridotの中核、アポイ岳登山開始!

7:30 アポイ岳ジオパークビジターセンター集合・登山開始

この場所でガイドさんと合流し、ほどなく歩いたところにある登山届に記名し、登山開始。
針葉樹と広葉樹が混じる樹林帯を歩く。前回はこのあたりでも結構花が見つかったのだが、今回はさっぱり。
先行き不安だなぁ…と思っていたのだが。

ツルアリドオシ

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ゴウソ

エゾシカに出会う


ハクサンシャクナゲ



葉に注目。常緑広葉樹に特徴的な葉だ。常緑広葉樹はミカン科のように温暖な地域に分布することが多いのだが、シャクナゲ一門は例外的に亜寒帯にも分布している。

ガマズミ

ハナヒリノキ

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9:20 五合目休憩小屋

五合目休憩小屋から海側を望む

ここでちょっとした発見があった。

イブキジャコウソウ



この花はこの後の登山道でたくさん見かけるが、"激レアなとあるもの"が見つかった。

イブキジャコウソウ アルビノ


同種のアルビノ

さて、ここからがアポイ岳登山の本当の試練。ほどなくして森林限界を超え、延々とガレ場が山頂近くまで続く。しかも急登。日頃の運動不足が恨めしい。
その道中にも花は咲く。

ミヤマサイコ


これでも花。小指の爪の1/4くらいしか大きさが無い。

イブキジャコウソウ

エゾカワラノマツバ


アポイアザミ (固有亜種)

途中で5合目休憩小屋を望む


ここで一気に100m程高度を稼ぐ。

サマニオトギリ (固有種)

ハナヒリノキ

イブキジャコウソウ


五合目より先のカンラン岩地帯ではイブキジャコウソウが普通に咲き乱れている。

エゾツツジ

アポイマンテマ (固有変種)

ヒロハヘビノボラズ 未成熟果実

イブキジャコウソウ(アルビノ種)

キンロバイ

エゾカワラノマツバ?

もう少しで7合目

アポイハハコ (固有変種)

様似町市街地を望む


中央左下の水色の屋根の建物が、宿泊している「ホテルアポイ山荘」。登山口はその近くなので、あそこからここまで登って来たことになる。だが、尾根の馬の背までは、まだ登る必要がある。

ヒメエゾネギ (準固有変種)

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アポイマンテマ

エゾカワラノマツバ

ミヤマビャクシン(雌株)

ともあれ、根性で登り切り、稜線へ到達。

10:30 馬の背

少しばかりのビークをトラバースして、鞍部「馬の背」に到達。



この前後は写真撮影ラッシュ。固有種もかなり咲いている箇所があって、ガイドさんがびっくりしていたくらい。ただ、見ての通りの登山道なので、撮影も登山も必死。

ホソバトウキ (夕張・日高山系固有種)

ハイマツの若い松ぼっくり


松ぼっくりは珍しくはないが、若い実は大抵ホシガラスが食べてしまうので、このように実が見られるのは珍しいそうだ。

ロックガーデン


尾根の途中には、こういったカンラン岩が劈開した岩山があちこちにある。これをトラバースしたり、登ったり降りたりで大変なのだが…黄色の花は。

エゾコウゾリナ (固有種)


アポイ岳の固有種、エゾコウゾリナ。この花を見られただけでもかなり貴重らしいのだが…

次の岩山で、結構咲いてましてん。ガイドさんが「こんなことってあるの?」と驚いてた。

近接撮影できるのも、岩山にたくさん咲いていたから。

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ホソバトウキ

ホソバトウキ

エゾサイコ (北海道固有変種)

で、岸壁をよじ登っている最中に、「あれ! 凄く珍しい花が咲いてる!!」

ゾルリムラサキ


アポイアズマギク (準固有変種)

チシマキンレイカ


山頂までの登頂途中で馬の背を見返る


稜線の馬の背も眼下に。もう、小休止を頻回に入れながら、山頂を目指す。

ヒダカミセバヤ


ヒメナツトウダイ

吉田岳・ピンネシリへ続く尾根

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山頂付近から見えた襟裳岬


11:40 山頂到着



必死こいて山頂到着。山頂からの風景写真はないの? ありません。実はアポイ岳森林限界を超えてガレ場が続いているはずなのに、なぜか山頂付近だけシラカンバの林になっているという、謎な植生をしているので、展望が開けないのである。
昼食摂って12:20下山開始。

山頂→12:50 馬の背


30分ほどで下山したのはそれなりに速いペース。なぜなら俺の脚は結構限界で、下山時にプルプルするからだ。もう花には目もくれず、一目散に下りた…はずなのだが、ガイドさんの「あの花*1は激レアだから絶対撮っておいたほうがいいって! "アレ"使って!」
アレとは、これである。
www.ricoh-imaging.co.jp
いや、あの、足場幅が俺の足の長さ程の断崖ステップの上でこのレンズ*2に換装し、数百mは転げ落ちそうな断崖に突き出た4-5m先の、数cmの花を狙えと?
…いや、撮りましたともさ。

死ぬかと思った。

馬の背→13:40 五合目休憩小屋


山頂からだいぶ下りてきたとはいえ、まだ眼下にある五合目休憩小屋。登りの急登を一気に下るわけだが、ぶっちゃけ下りのほうが怖い。疲れた足はプルプル、また下りには普段使わない筋肉を使うのですぐヘタレる。とどめに、この山は橄欖岩が主体なのだが、一部蛇紋岩に変化している。この岩、とにかく滑るのである。今回は登山時終ぞ雨は降らなかったが、濡れるとどうしようもないくらいに滑る。もうひとつは、今までのガレ場があまりにも急で、足場が悪く、片方は奈落の谷の底なので誰もが十分気を付けるのだが、ここはなまじ階段状になっているので、特に若年者で多いらしいが、一気に下りようとして事故ることが多いのだそうだ。アポイ岳登山で事故るほとんどは、馬の背-五合目休憩小屋のこの区間だとのこと。まぁ、俺に言わせれば、こんな急坂で余裕こける気が知れなかったが。
ともあれ、無事五合目休憩小屋に到着。

五合目休憩小屋→15:10下山

ここから先は消化試合。今までのガレ場で苦闘していたのとは打って変わって「ああ、道だぁ…」多少石や木の根があって歩きにくいが、今までのことを考えれば、まったくどうということはない。とはいえ水平距離で3kmほどあるので、各所の休憩地点で休み休み。なんとか無事に下山できた。

アポイ山荘ホテルから望むアポイ岳


登山を終えて

GPSギアの登山記録。

とにかくめっちゃ大腿四頭筋が痛い! 登山で事故るのは大抵下り。登る時に使う大殿筋は、普段歩いている人なら鍛えられているが、降りる時に使う、下腿を進展させるのに使う筋肉というのは、普段の生活ではそれほど使うものではない。ジムで筋トレしていた時には、マシンで意図的に大腿四頭筋や内転筋群を鍛えるように意識していたが、新型コロナウイルス流行で、ジムに行かなくなってしまったので、そのあたりの筋肉の鍛錬ができていなかった。まぁ、ともあれ、無事に下山できたので、良しとしよう。

なお。
俺たちはゆっくり下山していたので、他の登山者に先を行ってもらうことが多かったのだが、その中でストックを持ったご婦人の一人、ストック先にカバーがついてない方がいた。訊けば登っている途中でいつの間にか取れていたのだとか。ガイドさんがストックカバーを1つ渡してつけてもらい、先に下りてもらった。あれば、登山道を保護するためとはいえ、無くした登山者に一々渡していては、出費も大変だろう…と思っていたが、実はあのストックカバーも"拾い物"らしい。
もう一つ言うと。俺はストックは使わない。今回のアポイ岳でもストックは不要どころか、邪魔にしかならないと思っている。五合目休憩小屋より上のガレ場の登山道では、ストックを突く場所すら危うい。カンラン岩が変質した蛇紋岩では、濡れると滑りやすくなるのでむしろストック先が滑り危険。急斜面はグローブをはいた*3両手で両側の岩を把持しながら、低姿勢でゆっくり降りていくのが一番安全。この時、ストックがあると邪魔だ。

*1:ゾルリムラサキ

*2:3kgほどあります

*3:北海道では手袋は"する"や"つける"ではなく"はく"と言うことが多い。

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